【おふくろの味】お正月にも♪普段のおかずにも♪筑前煮の作り方

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「筑前煮」。
その名の通り、福岡県中南部にある筑前地方が発祥の郷土料理である。

またの名を「がめ煮」と言い、博多弁で寄せ集めることを「がめ繰り込む」と言った言葉が転じて、
具材を寄せ集めたこの料理が「がめ煮」と呼ばれることになったそうだ。

細かく特徴を調べ始めると、筑前煮はがめ煮よりも具材を小さく切ったものだとか、
筑前煮が骨のない鶏肉を使うのに対し、がめ煮は骨付き肉を使うものだとか、他にも諸説あるのだが定かではない。
ここは福岡で生まれ育った父の出番だとその真相を尋ねたところ、「似たようなものやけんどっちでも良かろうもん!」と返ってきてしまった。
(地元の人はあまり気にしないらしい。笑)

その由来の真相はともかく、福岡県発祥のこの料理がいまや全国区で親しまれているのは、
やはりお正月になると、おせちの中に必ずと言っていいほど陣を構える代表的な料理だからではなかろうか。

なぜこの筑前煮がお節に欠かせないのか。煌びやかなお節の中ではあまり目立たない脇役的存在だと思っていた私は、きっと日保ちがするし、お節には野菜が足りないからだとばかり考えていたのだが、どうやらそうではないようだ。
(しかも、根菜類だからお腹に溜まるのよね~なんて思って最後に食べていました笑)

実はこの筑前煮、さまざまな具材を寄せ集める(がめ繰り込む)ことから、「家族みんなで仲良く一緒に過ごせますように」という願いを込めて、お正月のみならず、お祝い事などでも縁起の良いおもてなし料理としてふるまわれてきたと言われている。
さらには筑前煮のメンバーひとつひとつにも、ちゃんと意味が込められているそうだ。
そのメンバーを紹介しよう。

「鶏」。新年になり一番最初に鳴く鳥であることから、縁起が良いとされている。
さらには「運を取り(トリ)込む」「客を取り(トリ)込む」ことから、商売繁盛や運気アップなどの願いも込められている。

「ごぼう」。土の中にしっかりと根を張ることから、家族や家計の基盤が末永く安定しますようにという願いが込められている。

「人参」。彩り担当。また、人参は梅の花の形の飾り切りにすることが多いが、この梅は、長い冬を耐え忍び春先に他の花よりいち早く咲き始めることからも縁起が良いとされている。

「れんこん」。穴が空いており先が見える・・・ということで、将来の見通しがよくなりますように、との願いが込められている。

「里芋」。里芋は収穫の際、種芋にたくさんの子芋が付くことから、子宝に恵まれて子孫が繁栄しますように、との願いが込められている。

「こんにゃく」。食感担当。こんにゃくのねじれが手綱が結ばれているように見えることから、
縁結びや良縁を祈願する想いが込められている。また、心を引き締め、己を戒める意味も込められているとか。

「干し椎茸」。乾物は神様やご先祖様へのお供えに使われる神聖なもの。
また、椎茸を亀の甲羅に見立て、亀は万年生きることから、長寿の象徴として縁起物とされている。

「絹さや」。こちらも彩り担当。また、ぐんぐんと伸びる竹に見立て、子の成長や出世を願う意味が込められている。

と、全メンバーにこれほど沢山の意味や願いが込められているなんて・・・ご存じでしたか?
(正直、どれだけ意味を持たせるんだと思って驚きましたが…お調子者の福岡県人の発想なのかしら…?笑)

何はともあれおせちの脇役的存在だなんて、とんでもない誤解をしていたのかもしれない。ゴメンナサイ。
手間暇かけて作る縁起の良いこの一品を、次こそは味わい噛みしめながら食べたいと思った。

さてさて、雑談はこのくらいにして、本日の献立に「筑前煮」はいかがでしょうか。

材料

  • ごぼう … 1本(約100g)
  • 人参 … 1/2本
  • れんこん … 200g
  • 里芋 … 4個(約200g)
  • こんにゃく … 1枚
  • 干し椎茸 … 4つ
  • 絹さや … 4枚
  • 鶏肉 … 1枚(約300g)
    a)醤油 … 小さじ1
    a)酒 … 大さじ1
  • b)みりん … 大さじ3
  • b)酒 … 大さじ3
  • b)椎茸の戻し汁 … 100ml
  • b)顆粒だし … 小さじ1
  • 醤油 … 大さじ3
  • サラダ油 … 大さじ1

数量:
2人分

調理時間:
60分

予算:
約900円

難易度:
★★★☆☆

作り方

1 野菜の下ごしらえをします。
 干し椎茸をひたひたの水に浸し、表記の時間通りに戻します。
 里芋は皮をむき、一口大に切り、下茹でします。
 (水から火にかけ、沸騰させて3~4分茹でてざる上げします。)
 ごぼうは1cm幅の斜め切りにし、水にさらします。
 人参は7㎜程度の輪切りにし、お好みで飾り切りにします。
 れんこんはいちょう型に切り分け、水にさらします。
 こんにゃくは塩もみし、2~3分茹でて、サル上げします。
 7㎜の厚さに細く切り、中央に入れた切り込みの中に片方の端を入れてねじるような飾り切りにします。
 *野菜の形に決まりはありません。ご自分の好きな形を楽しむのもいいですね♪
 干し椎茸は戻したら、石づきを切り落とします。戻し汁は茶こしでこして100mlだけ取っておきます。

2 肉は余分な脂や筋を取り除き、3cm四方に切ります。

3 鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、鶏皮の面を下にして鶏肉を並べます。
 薄く焼き色が付いたら、水気を切った野菜(ごぼう、人参、れんこん、里芋)を入れて炒めます。

4 全体に油がなじんだら、こんにゃくと干し椎茸を加えます。

5 a)の調味料をすべて加え、軽く混ぜ合わせたら、落し蓋をし、弱めの中火で10分煮ます。
*途中で蓋を開け、アクが出ていれば取り除きます。

6 醤油を加えさらに10分煮ます。

7 蓋を取り5分ほど煮詰めます。汁気がなくなるのが目安です。
 火を止め、味を染み込ませます。

8 飾りの絹さやを用意します。
 絹さやは筋をとり、塩少々を加えたお湯でさっと茹でます。30秒程度が目安です。

9 7)の野菜を器に盛り付け、最後に絹さやを散らしたら完成です!

 
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